成年後見と障害福祉をめぐるリアルな話

こんにちは。
1月18日に開催された福祉講座の内容を、簡単にご報告させていただきます。
日曜日の開催にも関わらず、今回も多くの方にご参加いただきました。親同士のつながりでお誘いくださった方や、士業の知人を紹介してくださった方など、参加の輪がじわじわと広がってきているのを感じ、とても嬉しく思っています。


第1部

講師]
 河津真子
 (行政書士 河津真子事務所 行政書士)

先日、「親なきあと」をテーマにした勉強会に参加しました。

講師は行政書士の河津真子先生。
テーマは

「わが子の未来を守るために
遺言と成年後見の基礎講座」

障害のあるお子さんを持つ親御さんにとって、
「自分がいなくなった後、子どもはどう生きていくのか」という問題は、避けて通れないテーマです。

遺言書は「将来の安心をつくる道具」
勉強会の中で繰り返し出てきた言葉が、遺言書は将来の安心をつくるためのツールということでした。

遺言書があることで

  • 子どものために残したお金を確実に守る
  • 財産管理を任せたい人を指定できる
  • 相続争いを防ぐ

といったメリットがあります。

一方で、遺言書がない場合は、法律で決められた法定相続分で財産が分けられることになります。

判断能力がないと遺産分割ができない

特に印象的だったのは、「判断能力がない場合の相続手続き」です。
遺言書がない場合、相続人全員で話し合いを行い、遺産分割協議をしなければなりません。

しかし、相続人の中に

  • 知的障害
  • 精神障害
  • 判断能力の低下

などがある場合、そのままでは協議に参加できません。
その場合は、「成年後見人を選任する必要がある」という点は、多くの親御さんにとって重要なポイントだと感じました。

任意後見という選択肢

そこで紹介された制度が「任意後見契約」です。
これは、将来判断能力が低下した場合に備えて、信頼できる人に生活や財産管理を任せる契約を事前に結んでおく制度です。

任意後見のメリットとして

  • 親が亡くなった後の支援者を決めておける
  • 財産の使い方を決めておける
  • 成年後見より柔軟な運用ができる

といった点が紹介されました。

「法律」と「生活設計」

今回の勉強会は、遺言や成年後見など、法律的な視点からの親亡き後対策を学ぶ機会でした。

ただ、実際の生活を考えると

  • どこで暮らすのか
  • どこで働くのか
  • 誰が支えるのか

といった、福祉制度や地域の支援体制もとても重要になります。

親亡き後の問題は、法律だけではなく、地域の支援や福祉と一緒に考える必要があるテーマだと改めて感じました。

親が元気なうちに考えること

親が元気なうちに考えること「親亡き後」という言葉は少し重いですが、本当に大切なのは親が元気なうちに準備することだと思います。
今回の勉強会は、その第一歩としてとても分かりやすい内容でした。

講師の河津先生、ありがとうございました。


第2部

講師]
 後藤 学
 NPO法人セブンデイズ 理事長

NPO法人「セブンデイズ」の取り組みについて、今回の勉強会では後藤代表にお話ししていただきました。
セブンデイズは、もともと不動産管理業からスタートした団体ですが、約10年前から福祉事業にも取り組み、現在は

  • 障害者グループホーム
  • 就労継続支援B型

などを中心に運営されています。
しかし、この団体の特徴はそれだけではありません。
地域で進む農家の高齢化と廃業問題に対して、福祉事業を組み合わせた取り組みを行っています。

高齢化で続けられなくなる農業

地方では、農家の高齢化が深刻です。

  • 後継者がいない
  • 体力的に農業が続けられない
  • 農地が荒れてしまう

こうした問題が多くの地域で起きています。

セブンデイズでは、廃業予定の農家と連携し、農福連携という形で農業を続けられる仕組みを作っています。

障害福祉と農業をつなぐ

就労継続支援B型の利用者が、農作業の一部を担うことで

  • 農地を守る
  • 地域の農業を続ける
  • 障害のある方の仕事を生む

という仕組みを作っています。

これは単なる福祉活動ではなく、地域の産業を支える取り組みでもあります。

収穫した野菜はB型カフェで提供

さらに面白いのは、収穫した野菜を使った取り組みです。
作られた野菜は、就労継続支援B型が運営するカフェで提供されています。

つまり

農業

収穫

調理

販売

という流れの中に、障害のある方の仕事が生まれています。
これはいわゆる6次産業化に近い仕組みで、地域の資源を循環させるモデルです。

福祉は「コスト」ではなく地域資源

日本では、福祉はどうしても

  • 「支援」
  • 「コスト」

という視点で語られることが多いように感じます。

しかし今回の事例は、

  • 農業の担い手不足
  • 地域経済
  • 障害者の就労

という複数の課題を同時に解決する取り組みでした。

まさに

地域の課題を、福祉を通して解決するモデルだと感じました。

またこちらのB型就労では、白鳩の飼育もしています。
結婚式、平和の祭典、などのセレモニーで飛ばす白鳩の飼育もしています。
福祉と結婚式、平和の祭典の結びつきも素敵な取り組みだと感じました。


最後に

「福祉」と聞くと難しく感じてしまうかもしれませんが、今回の講座では、暮らしに直結する話がたくさんありました。

障害のある方が地域の中で、自分らしく安心して暮らしていくためには、家族・支援者・地域の人たちが少しずつ行動していくことが大切です。
そんな前向きなメッセージが、参加者の皆さんの心にしっかり届いた講座だったと思います。


講演会終了後に、“お茶を飲みながら親御さん同士で交流いただく時間“を設けました。

持ち寄ったお菓子を囲み、支援者・ご家族の垣根を超えて井戸端会議の様に気軽におしゃべりができる時間となりました。制度の話にとどまらず、「うちではこうしている」「学校との連携はどうしている?」と言った実際の生活に基づいた会話が自然と生まれ、主催者としてもとても嬉しい光景でした。

今回参加できなかった皆さまも、次回はぜひ交流の場に残っていただき、親御さん同士での情報交換やちょっとした疑問の解消にお役立てください。



セミナー終了後に、会場内で“プチマルシェ”を開催します。
野菜や果物・お菓子・小物類など、お好きなものを講演会の参加費だけで出展していただけます。ブース出展をご希望の方は、ぜひ運営までご連絡ください。


福祉講座

次回のお知らせ

ご興味のある方は、どなたでもお気軽にご参加ください。
皆さまとまたお会いできるのを楽しみにしております!